「サロン帰りはきれいだったのに、自分で乾かすとパーマがうまく出ない」「髪が傷んだせいか、パサパサに広がる…」そんなお悩みはありませんか?パーマで傷んだ髪は、実は「乾かし方」が命です。この記事では、デジタルパーマやコールドパーマといった種類別の正しい乾かし方から、熱ダメージを防ぐ最新ドライヤー選びの全知識まで、美容家電のプロが徹底解説。あなたのパーマスタイルを美しく蘇らせる手順を紹介します。
この記事のポイント
- パーマで傷んだ髪は「自然乾燥NG」の理由
- パーマの種類(デジタル・コールド)別の正しい乾かし方
- 熱ダメージを防ぐ最新ドライヤーの技術(イオン・温度制御)
- 美容師推薦の高機能ドライヤーと安全な使い方
パーマで傷んだ髪を美しく仕上げる「正しい乾かし方」の専門手順
- なぜパーマヘアは乾かし方が重要?
- 乾かす前の必須準備(タオルドライとトリートメント)
- 【パーマ別】乾かし方の決定的な違い
- パーマヘア専用?ディフューザーの効果的な使い方
- 仕上げの冷風とスタイリング剤の選び方
なぜパーマヘアは乾かし方が重要?

パーマをかけた髪は、濡れている時にカールがくっきり出やすいため、ついつい「自然乾燥」で済ませてしまう方がいらっしゃいます。ですが、パーマで傷んだ髪の自然乾燥には課題があります。長時間の湿潤状態は髪内部の「Cell Membrane Complex(CMC)」にダメージを与える可能性があるため、放置乾燥より速やかな乾燥が推奨されます。ただし、適切に行われた加熱乾燥も同様にキューティクルダメージを引き起こす可能性があるため、温度管理と乾燥時間の短縮が重要です。
髪が濡れている状態は、キューティクルが開いており、最も無防備でダメージを受けやすい状態です。その無防備な状態で寝てしまったり、放置したりすると、枕との摩擦でキューティクルが剥がれ、せっかくのパーマが台無しになるだけでなく、深刻なダメージやパサつきに繋がります。
さらに、頭皮が湿ったままだと雑菌が繁殖しやすくなり、臭いやかゆみの原因になることも。パーマで傷んだ髪をこれ以上悪化させないため、そして美しいカールを長持ちさせるためにも、「正しいドライヤーでの乾燥」は必須のヘアケアなのです。
自然乾燥が引き起こす3つのリスク
- ダメージの加速: 濡れて開いたキューティクルが摩擦で剥がれ、髪内部の水分やタンパク質が流出します。
- パーマのダレ: 本来のカールが重みで伸びてしまい、スタイルが崩れます。
- 頭皮トラブル: 雑菌が繁殖し、臭いやフケ、かゆみの原因となります。
「熱=ダメージ」と恐れるのではなく、「正しい熱で素早く優しく乾かす」ことが、傷んだ髪を守る最善の策なのです。
パーマヘアの悩みは、熱を避けることではなく、熱を味方につけることで解決します。次のステップから、その具体的な手順を見ていきましょう。
乾かす前の必須準備(タオルドライとトリートメント)

パーマで傷んだ髪を美しく乾かす戦いは、ドライヤーのスイッチを入れる前から始まっています。準備段階で手を抜くと、どれほど高性能なドライヤーを使っても仕上がりに差が出ます。重要な準備は2つです。
まず、「タオルドライ」です。お風呂から上がったら、できるだけ早く髪の水分を取り除きます。ただし、ここでゴシゴシと力任せに拭くのは厳禁。パーマとダメージで敏感になっている髪は、摩擦に非常に弱いからです。タオルで髪を挟み込み、優しくポンポンと押さえながら水分を吸い取るようにしてください。地肌も同様に、指の腹でタオルを押し当てるようにして水分を取ります。
次に、「洗い流さないトリートメント」の塗布です。パーマヘア、特に熱を加えるデジタルパーマをかけた髪は乾燥しやすいため、これは「マスト」の工程です。ドライヤーの熱から髪を守る「ヒートプロテクト効果」のあるものを選びましょう。髪内部の保湿・補修成分が含まれたミルクタイプや、熱と紫外線から守るオイルタイプなどがおすすめです。トリートメントは頭皮を避け、髪の中間から毛先、特にダメージが気になる部分に丁寧になじませてください。
ドライヤー前の必須準備
- 優しいタオルドライ: 擦らず、挟んで押さえる。
- トリートメント塗布: 熱から守り、乾燥を防ぐ。特に毛先は入念に。
この2ステップで、ドライヤーによる熱ダメージを最小限に抑え、パーマのパサつきを防ぐことができます。
【パーマ別】乾かし方の決定的な違い


せっかくのパーマが「傷んだだけ」で終わってしまう最大の原因は、パーマの種類と乾かし方が合っていないことにあります。あなたのパーマに合った正しい乾かし方を、今すぐマスターしましょう。
デジタルパーマ(ホット系パーマ)の場合
デジタルパーマは「形状記憶パーマ」とも呼ばれ、髪が乾いたときにカールがくっきりと現れるのが特徴です。つまり、濡れている時のカールは気にせず、「乾いた時の形」を意識して乾かす必要があります。
- まず、髪の根元(地肌)にドライヤーの強風を当て、指の腹で擦るようにして根元を先に徹底的に乾かします。この時、毛先はまだ湿っていて問題ありません。
- 根元が乾いたら、ドライヤーを弱風に切り替えます。
- 毛先を2~4ブロックに分け、1束ずつ取ります。その毛束を指にくるくると内側(または外側)にねじりながら、ドライヤーの弱風を当てて乾かします。
- ねじった毛束を手のひらに乗せ、持ち上げるようにして下や横から弱風を当てると、カールがよりふんわりと固定されます。
デジタルパーマは、この「ねじって乾かす」作業をサボると、ただの広がるクセ毛のようになってしまいます。必ず「ねじる」ひと手間を加えてください。
コールドパーマ(コールド系パーマ)の場合
コールドパーマは昔ながらのパーマで、髪が濡れている時に最もカールが強く、乾くとウェーブがゆるくなるのが特徴です。こちらはデジタルパーマとは逆に、「濡れた時のカールをいかに崩さないか」が勝負です。
- まず、ドライヤーを弱風に設定します。強風は絶対に使ってはいけません。カールがすべて吹き飛んでしまいます。
- 根元から乾かしますが、この時も弱風で優しく乾かします。毛先を引っ張らないように注意してください。
- 根元が乾いたら、毛先を手のひらに乗せ、カールをくしゅくしゅと握る(スクランチする)ようにしながら、弱風を当てて乾かします。
- 指でカールをくるくる形作りながら乾かすのも効果的です。
コールドパーマの方は、とにかく「弱風」と「引っ張らない」こと。そしてカールを「握る」ことを意識してください。
パーマヘア専用?ディフューザーの効果的な使い方


コールドパーマの方や、ゆるふわ系のパーマをかけた方に、プロとして特におすすめしたいのが「ディフューザー」というアタッチメントです。
ディフューザーは、ドライヤーの先端に取り付けるお皿のようなアタッチメントで、ドライヤーの強すぎる風を拡散させ、熱と弱風だけでふんわりと乾かすことができます。これを使うと、風でカールが散らばるのを防ぎ、濡れた時に出ているウェーブの形をそのままキープしながら優しく乾燥させることが可能です。
使い方は簡単。髪をディフューザーのお皿部分に乗せ、下から持ち上げるようにして地肌に近づけ、弱風で乾かすだけ。ムースなどをつけた後にディフューザーで乾かせば、サロンで仕上げたような「自然乾燥」風の美しいパーマ感が戻ってきます。
「自然乾燥はしたい、でもダメージはさせたくない」というパーマヘアの矛盾を、技術的に解決してくれるのがディフューザーなのです。
仕上げの冷風とスタイリング剤の選び方


髪が8割~9割乾いたら、最後の仕上げです。ここでドライヤーの「冷風(クールモード)」を使います。冷風の主な効果は、温風で整えたスタイルを冷却することで形状を定着させることにあります。このひと手間が、髪の「傷んで見える感」を大きく左右します。
完全に乾いたら、スタイリング剤をつけます。これもパーマの種類によって使い分けましょう。
- デジタルパーマの場合:
カールが乾いているため、水分をあまり含まないワックスやヘアバームがおすすめです。 - コールドパーマの場合:
カールに潤いを与える、ムースやジェル、ウェット感の出るオイルなどが適しています。
傷んだ髪への上級テクニック
パーマで傷んだ髪のパサつきが気になる方は、スタイリング剤の選び方も一工夫しましょう。特におすすめなのが、「ワックスに少量のヘアオイルを混ぜる」テクニックです。ワックスのセット力とオイルのツヤ・保湿力が合わさることで、パサつきを抑えながら美しいカールを表現できます。
これで、パーマで傷んだ髪を美しく仕上げる「乾かし方」の全手順は完了です。正しい手順を実践すれば、あなたの髪は必ず変わります。
傷んだ髪とパーマを悪化させないドライヤー選びの全知識
- 「風量」と「温度」の正しい見方
- 美容師が推薦する高級ドライヤーの最新技術
- パーマ・傷んだ髪向け高機能ドライヤー比較
- 法律と安全性:ドライヤーの危険性と正しい使い方
「風量」と「温度」の正しい見方


パーマで傷んだ髪をケアするためには、ドライヤー選びが非常に重要です。しかし、多くの人が「風量が強ければ強いほど良い」と誤解しています。それは半分正解で、半分不正解です。
確かに、風量が強い(一般的に「大風量」と呼ばれる1.6㎥/分以上)ドライヤーは、乾かす時間が短縮(時短)できるため、結果的に髪が熱にさらされる総時間が減り、熱ダメージが少なくなるという大きなメリットがあります。
しかし、デメリットもあります。風が強すぎると、髪が絡まったり、コールドパーマのように優しく乾かしたいカールまで吹き飛ばしてしまい、スタイリングが崩れやすいのです。
そこで、パーマ・傷んだ髪の方が選ぶべきドライヤーの条件は、「ただ風が強い」ことではなく、「強風と弱風(または低温)を使い分けられる」ことです。
パーマヘアに必要なドライヤーの条件
- 根元を乾かすための「大風量モード(TURBOなど)」:
素早く地肌を乾かし、熱ダメージの総時間を減らす。目安は1.8㎥/分以上あると速さを実感できます。 - 毛先を乾かすための「低温・弱風モード(SCALP, SOFTなど)」:
約60℃以下の低温や、優しい風で、熱ダメージや摩擦を与えずにカールを固定する。
この「2つの速度」を高いレベルで両立していることが、高機能ドライヤーが傷んだ髪に良いとされる理由です。安価なドライヤーは「熱く強い風」しか出せず、この繊細な使い分けができません。
美容師が推薦する高級ドライヤーの最新技術


近年、美容師が本気で推薦する高級ドライヤーが増えています。これらは、単に風が強いだけでなく、パーマやカラーで傷んだ髪を守るための最先端技術を搭載しています。



代表的な技術を3つご紹介します。
- インテリジェントヒートコントロール(ダイソンなど):
ドライヤーが自ら髪の温度を測定し、熱が上がりすぎる前に出力を自動で制御する技術です。これにより、髪を「乾かしすぎ」による熱ダメージから守ります。特にダイソンのドライヤーは、この技術とパーマに最適なディフューザーの組み合わせで、美容師から高い支持を得ています。 - 高浸透ナノイー(パナソニック):
パナソニックのナノイー&ミネラルイオン技術は、微細な水を含むイオンを放出して、キューティクルの摩擦ダメージを低減させることが報告されています。パナソニックの試験では、ブラッシング時の摩擦ダメージが軽減され、毛先の広がりやすさが改善されたとされています。 - プラズマクラスター(シャープ):
シャープの「プラズマクラスター」技術は、正負のイオンを同時に放出して静電気を抑制し、髪のまとまりを向上させることが報告されています。シャープの臨床試験では、頭皮環境の改善と菌の繁殖抑制に関する効果が確認されています。
これらの技術は、パーマで傷んだ髪の「パサつき」「広がり」「熱ダメージ」といった悩みに、科学的根拠を持ってアプローチしてくれます。
パーマ・傷んだ髪向け高機能ドライヤー比較
ここまで紹介した技術や特徴を踏まえ、パーマや傷んだ髪に悩む方におすすめの高機能ドライヤーを比較表にまとめました。ご自身のパーマの種類や悩みに合わせて、最適な一台を見つける参考にしてください。
| メーカー | モデル例 | 主な技術 | パーマ・傷んだ髪へのメリット |
|---|---|---|---|
| ダイソン (Dyson) | Supersonic Ionic | インテリジェントヒートコントロール、ディフューザー | 過度な熱ダメージを自動で防ぐ。付属ディフューザーがコールドパーマやゆるふわ系パーマのカールを崩さず乾かすのに最適。 |
| パナソニック (Panasonic) | ヘアードライヤー ナノケア | 高浸透ナノイー | 髪の内部に水分を補給し、摩擦ダメージを低減。デジタルパーマなどで広がりやすい髪の「まとまり」を向上させる。 |
| シャープ (Sharp) | プラズマクラスタードレープフロードライヤー | プラズマクラスター | 熱ダメージの受けにくさに定評あり。イオンの力で静電気を抑え、まとまりやすい髪へ導く。 |
| 絹女 (Kinu-jo) | KINUJO Hair Dryer | (非公開独自技術) | 美容師が選ぶ2024年高級ドライヤーランキングで1位を獲得。プロが認める仕上がりと速乾性を両立。(価格:33,000円 税込) |
| ReFa (リファ) | ビューテックドライヤープロ | プロセンシング | 地肌と毛先の温度を感知し、自動で温度を切り替え。美容師が選ぶ2024年高級ドライヤー2位。(価格:39,600円 税込) |
法律と安全性:ドライヤーの危険性と正しい使い方
美容家電のエキスパートとして、髪の美しさだけでなく、製品の「安全性」についても警鐘を鳴らす必要があります。ヘアドライヤーは正しく使わなければ、火災や事故につながる危険な電化製品です。
消費者庁や国民生活センターからも、ヘアドライヤーの不適切な使用による発煙・発火事故が多数報告されています。特に注意すべきは以下の3点です。
ドライヤーの重大事故を防ぐ3つのルール
- コードを本体に巻き付けない
最も多く、最も危険な行為がこれです。収納時にコードを本体にグルグル巻き付けると、コードの根元(接続部)に常にストレスがかかり、内部の電線が断線(損傷)します。その結果、使用中にショートし、火花が散ったり、コードが発火したりする重大事故につながります。コードは必ず、ゆとりを持たせて保管してください。 - 吸込口・吹出口のホコリを掃除する
ドライヤーの吸込口(風を吸い込む網目部分)にホコリや髪の毛が詰まると、内部で空気が流れなくなり、異常に温度が上昇(オーバーヒート)して発火の原因となります。月に一度はホコリを取り除いてください。 - 使用中に髪の毛を吸い込ませない
特にロングヘアの方は、吸込口に髪が吸い込まれないよう、本体と髪の距離を保って使用してください。
電気用品安全法(PSEマーク)は、こうした安全性を担保する基準ですが、最終的には使う人次第です。美しい髪は、安全な使い方の上で初めて成り立ちます。
総括:パーマで傷んだ髪を美しく保つ、プロの結論
この記事のまとめです。
- パーマヘアの自然乾燥はダメージと頭皮トラブルの原因である
- 濡れた髪はキューティクルが剥がれやすい状態である
- 乾かす前はタオルで擦らず、挟んで水分を吸い取る
- ドライヤー前は洗い流さないトリートメントが必須である
- デジタルパーマは「乾いた時」にカールが記憶される
- コールドパーマは「濡れた時」にカールが最も強く出る
- デジタルパーマは根元を強風、毛先を弱風で乾かす
- デジタルパーマの毛先は「指に巻き付け」乾かす
- コールドパーマは全体を「弱風」でカールを崩さず乾かす
- ディフューザーはパーマのカールを崩さず乾かす専門アタッチメントである
- 仕上げの冷風はキューティクルを引き締め、スタイルを固定する
- 傷んだ髪には「大風量(速乾)」と「低温(スタイリング)」の両立が重要である
- 高機能ドライヤーは熱ダメージや摩擦を抑える技術を搭載している
- ドライヤーのコードを本体に巻き付けると火災の原因となる
- 吸込口のホコリは過熱の原因になるため定期的に清掃する











