クールで透明感のある「青色の髪」は、個性と洗練された印象を同時に叶える人気のヘアカラーです。しかし、いざ染めてみると「思ったよりも早く色落ちしてしまった」「気付いたら髪が緑っぽく変色していた」という経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
青色の色素は非常に繊細で、ベースとなる髪色や日々のケア方法によって、その後の色の変化が大きく異なります。この記事では、美容家電のエキスパートとしての視点も交えながら、青髪が色落ちしていくメカニズムから、美しい色を長く楽しむための具体的なケア方法、そしてドライヤー選びの重要性までを徹底解説します。
この記事のポイント
- 青色が色落ちして緑色になるのはベースの黄色と混ざるためである
- 綺麗なシルバーやグレーに落とすにはブリーチでのベース作りが重要
- 色持ちには日々のシャンプー選びとドライヤーの温度管理が鍵となる
- 熱ダメージは変色の最大の敵であり低温ケアが必須となる
青色の髪の毛が色落ちするとどうなる?変化の過程と緑になる原因
- 青髪の色落ち過程を徹底解説!染めたてから1ヶ月後の変化
- なぜ青髪は色落ちすると緑っぽくなりやすいのか?黄ばみとの関係
- ブリーチありとなしで違う?ベースの髪色による色落ち後の違い
- 綺麗なシルバーやグレーに色落ちさせるための条件とは
- すぐに色落ちしてしまう人の特徴とNGなヘアケア習慣
青髪の色落ち過程を徹底解説!染めたてから1ヶ月後の変化

念願のブルーヘアを手に入れた直後の高揚感は特別なものですが、残念ながらその鮮やかな発色は永遠には続きません。ヘアカラーの中でも、青色系の色素(アッシュやインディゴなど)は髪の表面付近に吸着しやすい反面、髪の内部への定着力が弱く、比較的色落ちが早い部類に入ります。一般的に、染めた当日から3日目くらいまでが、最も深みのある純粋なブルーを楽しめるピーク期間です。特にネイビーやブルーブラックなどの暗めのトーンであれば、室内では黒髪に見えつつ、自然光の下では青く透けるような絶妙なニュアンスを維持できるでしょう。
しかし、毎日のシャンプーによって少しずつ青い色素は流出していきます。1週間が経過する頃には、当初の鮮烈な青みは徐々に薄れ、透明感のある淡い色味や、少しマット(緑)がかったニュアンスへと変化し始めます。
実はこの時期が最も「色落ちを楽しめる」タイミングと言えるかもしれません。元々の青の濃さにもよりますが、少しスモーキーな質感が出てきたり、ベースの明るさが透けて見え始めたりすることで、柔らかい印象に変わっていくのです。
多くの人が「染めたてよりも、今の色が一番馴染んでいて好き」と感じるのがこの時期です。
さらに2週間から3週間が経過すると、いよいよ髪の内部に残っている色素のバランスが崩れ始めます。青色が抜けた後に、ベースとなっている髪の「黄色味」が強く顔を出し始めるのがこの頃です。
ここでのケアを怠ると、いわゆる「汚い色落ち」に見えてしまうリスクが高まります。そして1ヶ月後には、ほとんどの青色色素が抜け落ち、ブリーチをした髪であれば金髪に近い状態、あるいはくすんだマットなベージュへと変化します。
この1ヶ月間の変化をあらかじめ理解しておくことで、「いつカラーチャージ(染め直し)をするべきか」「美容室の予約をいつ入れるべきか」の計画が立てやすくなります。変化をネガティブに捉えるのではなく、日々の移ろいを楽しむ心の余裕を持つことも、ハイトーンカラーを楽しむ秘訣と言えるでしょう。

なぜ青髪は色落ちすると緑っぽくなりやすいのか?黄ばみとの関係


「青く染めたはずなのに、数日経ったらコケのような緑色になってしまった」という悩みは、青系カラーに挑戦した多くの人が直面する最大のハードルです。実はこれには、非常に単純明快な色彩学の理屈が関係しています。絵の具を想像してみてください。青色と黄色を混ぜると何色になるでしょうか?答えはもちろん「緑色」です。これがまさに、髪の毛の中で起こっている現象なのです。
日本人の髪はもともと「ユーメラニン(黒褐色)」と「フェオメラニン(赤黄色)」を持っており、特に赤みや黄色みを多く含んでいます。ブリーチをして黒い色素を抜いていくと、髪は黒から茶色、オレンジ、そして黄色へと変化していきます。
青色を綺麗に発色させるためには、ある程度ブリーチをして明るくする必要がありますが、多くの場合は完全に白になるまで色素を抜き切ることは難しく、どうしても髪の内部には「黄色味」が残留しています。
染めた直後は、新しく投入した青色の色素が圧倒的に多いため、ベースの黄色は隠れて見えません。しかし、前述したように青色の色素は水に弱く流出しやすいため、シャンプーを繰り返すうちに青の総量が減っていきます。
すると、隠れていたベースの黄色が徐々に主張を始めます。髪に残っている少量の「青」と、ベースにある大量の「黄」が重なり合い、視覚的に「緑」として認識されるようになるのです。
これが、青髪が緑色に色落ちしてしまうメカニズムの正体です。特に、ブリーチが不十分で黄色みが強く残っている(イエローアンダートーン)髪に、薄い水色などを入れた場合、染めたその瞬間から緑っぽく発色してしまうことさえあります。
また、使用しているシャンプーの洗浄力が強すぎたり、紫外線によるダメージで髪が酸化したりすることも、黄色みを増長させる原因となります。この「緑化現象」を防ぐためには、いかにベースの黄色みを抑えるか、あるいは青色を補充し続けるかが重要な鍵となります。
緑色になるメカニズムの要点
- 日本人の髪質: 黄色い色素(フェオメラニン)が残りやすい。
- 色の引き算: 残留している「黄色」+残った「青」=「緑」。
- 対策の方向性: ベースの黄色を消すか、青を足し続けるかの二択。
ブリーチありとなしで違う?ベースの髪色による色落ち後の違い


青髪の色落ちは、染める前の髪の状態、つまり「ベースの明るさ(レベル)」によって全く異なる結果を招きます。大きく分けて、ブリーチをしてしっかりとベースを明るくしている場合と、ブリーチなし、あるいはブリーチをしていても暗めのトーンの場合とでは、その後のストーリーが大きく変わってきます。
この違いを理解していないと、理想の色落ちを実現することは不可能です。以下の表で違いを整理してみましょう。
| ベースの状態 | 染めたての色 | 色落ち後の変化 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ブリーチ2回以上 (18レベル以上/ペールイエロー) |
鮮やかで透明感のある青 水色やパステルも可能 |
シルバー・グレー・白 綺麗に色が抜ける |
ベースの黄色が少ないため、緑になりにくく、無彩色へ美しく変化する。理想的な色落ち。 |
| ブリーチ1回 (15〜16レベル/イエローオレンジ) |
深みのあるネイビー ブルーブラック |
緑・マットな金髪 濁りが出やすい |
残留色素の黄色と青が混ざりやすく、最も「緑化」しやすいパターン。紫の補色が必須。 |
| ブリーチなし (〜12レベル/ブラウン) |
ブルーブラック ほんのり青い黒髪 |
アッシュブラウン・赤みのない茶色 | 青みはあまり感じられないが、赤みが消えた透明感のある茶色に戻る。 |
まず、ブリーチを2回以上行い、髪のベースが「白に近い薄い黄色」になっている場合です。この状態で濃い青を入れると、非常に鮮やかな発色が得られます。そして色落ちの過程では、ベースの黄色味が少ないため、緑色に傾くリスクが低くなります。
青が抜けていくと、次第にシルバーやグレー、あるいは白に近い色へと美しく変化していくことが多いのです。これはハイトーンカラー愛好家にとって理想的な色落ちと言えるでしょう。
一方、ブリーチを1回程度、あるいはブリーチなしで暗めの茶色い髪に青を入れた場合はどうでしょうか。ブリーチ1回程度だと、髪にはまだ強いオレンジ味や黄色味が残っています。
ここに青を入れると、最初は深みのある落ち着いたブルーブラックやネイビーになりますが、色落ちするとすぐにベースの黄色と混ざり合い、緑色やマットな茶色になりやすい傾向があります。
ブリーチなしの暗い髪に入れた場合は、そもそも青色があまり発色せず、光に当たるとほんのり青く見える程度になります。色落ちしても極端な変色は起きず、元の茶色に戻るだけというケースが多いですが、赤みが抑えられた「アッシュブラウン」のような色味に落ち着くことが多く、これはこれで職場や学校の規則が厳しい方にはメリットとなります。
自分の現在の髪のベース状態を正しく把握し、美容師と相談して「どの程度まで色を抜くか」を決めることが大切です。
綺麗なシルバーやグレーに色落ちさせるための条件とは


青髪の最大の魅力の一つは、色落ちの過程で洗練された「シルバー」や「グレー」を楽しめる可能性があることです。しかし、誰もが自動的にそうなるわけではありません。綺麗な無彩色へと色落ちさせるためには、いくつかの厳しい条件をクリアする必要があります。
それはまさに、計算されたプロの仕事と日々の丁寧なケアの結晶と言っても過言ではありません。
第一の条件:ベース作りの完成度
前項でも触れた通り、これが最も重要です。シルバーやグレーは、黄色味が残っていると表現できない色です。そのため、ブリーチのリタッチを丁寧に行い、髪全体をムラなく17〜18レベル以上の明るさ(ペールイエロー領域)までリフトアップさせておく必要があります。この土台があって初めて、青色が抜けた後に黄色と混ざらず、青の色素が薄まった状態である「銀色」に見えるようになるのです。中途半端なブリーチ状態で青を入れても、色落ち後はどうしても濁ったマット色になってしまいます。
第二の条件:補色(バイオレット)の活用
カラー剤の選定において、単色の「青」だけでなく、補色となる「紫(バイオレット)」をわずかにミックスして染めるというテクニックが有効です。紫は黄色を打ち消す効果があるため、色落ちして出てくる黄ばみを抑え込み、白っぽいシルバーへと導いてくれる役割を果たします。熟練した美容師は、お客様の髪質やベースの色を見極め、青に10%〜20%程度の紫を混ぜることで、退色過程までコントロールしています。
第三の条件:自宅での「ムラシャン」継続
美容室でのカラーがいかに完璧でも、日々のシャンプーで色が抜けていけば黄ばみは必ず出てきます。そこで、自宅で定期的に紫色の色素を補充する「紫シャンプー(ムラシャン)」の使用が必須となります。これにより、黄ばみをキャンセルし続け、シルバーの状態を長くキープすることが可能になります。このように、綺麗な色落ちは偶然の産物ではなく、科学的な理論に基づいたベース作りとメンテナンスによって作られるものなのです。
すぐに色落ちしてしまう人の特徴とNGなヘアケア習慣


「せっかく美容室で綺麗に染めてもらったのに、3日で色が落ちてしまった」という嘆きをよく耳にします。髪質による個人差ももちろんありますが、多くの場合、無意識に行っている日常のヘアケア習慣が色落ちを加速させています。
青色の色素はただでさえ定着力が弱いため、少しの刺激で簡単に髪の外部へと流出してしまいます。ここでは、色落ちを早めてしまう「やってはいけない」NG習慣について具体的に見ていきましょう。
最も多いNG行為は、「洗浄力の強すぎるシャンプーを使っていること」です。市販の安価なシャンプーの多くは、「ラウレス硫酸ナトリウム」や「ラウリル硫酸ナトリウム」などの高級アルコール系洗浄成分を主成分としており、これは食器用洗剤に近いほどの強力な脱脂力を持っています。汚れと一緒に、苦労して入れたカラー色素や、髪に必要な油分までごっそりと洗い流してしまうのです。カラー後の髪には、アミノ酸系やベタイン系などのマイルドな洗浄成分のシャンプーを使うことが鉄則です。
次に、「熱湯でのシャンプー」も色落ちの大敵です。40℃を超える熱いお湯は、髪のキューティクルを過剰に開かせ、色素の流出を招きます。また、熱そのものが色素の分解を促進する場合もあります。美容師がよく「ぬるま湯で洗ってください」と言うのはこのためで、体感としては少しぬるいと感じる38℃前後のお湯で洗うのがベストです。冬場などは寒く感じるかもしれませんが、髪色を守るためには温度設定を見直す必要があります。
そして意外と見落とされがちなのが、「物理的な摩擦」です。濡れた髪をタオルでゴシゴシと力任せに拭いたり、絡まった髪を無理やりブラシでとかしたりしていませんか?濡れている髪は「膨潤」してキューティクルが開いており、非常に無防備な状態です。この状態で摩擦を加えると、キューティクルが剥がれ落ち、内部の間充物質とともに色素も流出してしまいます。タオルドライは優しく押さえるように行い、ブラッシングは毛先から丁寧に。これらの小さな習慣の積み重ねが、色持ちの期間を数日から数週間単位で変えてしまうのです。
色落ちを加速させる3大NG
- 洗浄力: 「ラウレス硫酸Na」などの成分が入ったシャンプーの使用。
- 温度: 40℃以上のシャワー温度(理想は38℃)。
- 摩擦: タオルでのゴシゴシ拭き、濡れた髪へのブラッシング。
青髪の色持ちを良くして綺麗な色落ちを楽しむためのプロ直伝ケア方法
- 色落ち対策の基本!カラーシャンプーの選び方と正しい使い方
- ドライヤーの熱ダメージが色落ちを加速させる?温度管理の重要性
- お風呂上がりは時間との勝負!濡れた髪を放置してはいけない理由
- アイロンやコテの使用温度は何度がベスト?熱変色を防ぐテクニック
- 次のカラーに影響させないために!残留色素との上手な付き合い方
色落ち対策の基本!カラーシャンプーの選び方と正しい使い方


青髪の色持ちを良くするために、もはや必須アイテムと言えるのが「カラーシャンプー」です。しかし、店頭には紫、シルバー、ピンク、アッシュなど様々な色のシャンプーが並んでおり、どれを選べば良いのか迷ってしまう方も多いでしょう。
青髪のケアにおいて、選ぶべきカラーシャンプーは主に「紫シャンプー(ムラシャン)」か「アッシュ(シルバー)シャンプー」、そして場合によっては「ブルーシャンプー」の3択になります。
それぞれの目的を理解して使い分けることが重要です。
- 紫シャンプー(ムラシャン)
- 目的: 黄ばみを打ち消す(黄色の補色)。
- おすすめ: 色落ちして緑になるのを防ぎたい人、最終的に綺麗なシルバーにしたい人。
- 効果: 青みそのものを足す力は弱いが、ベースを綺麗に保つために最も重要。
- アッシュ(シルバー)シャンプー
- 目的: 灰色(くすみ感)を補充する。
- おすすめ: 青みが抜けた後のスモーキーな感じを維持したい人。
- ブルーシャンプー
- 目的: 青色の色素を直接補充する。
- おすすめ: 染めたての青をできるだけ長くキープしたい人、濃いネイビーを維持したい人。
正しい使い方のポイントは、「泡立ててから数分間放置すること」です。通常のシャンプーのようにすぐに洗い流してしまうと、色素が髪に定着する時間が足りません。髪全体にたっぷりと泡を行き渡らせたら、粗目のコームで馴染ませ、3分から5分程度そのまま放置して泡パックをします。これにより、色素がじっくりと髪の内部へ浸透します。
ただし、注意点もあります。ブルーシャンプーなどは色素が濃いため、放置しすぎると沈着しすぎて色が暗くなったり、爪の間が染まってしまったりすることがあります。使用頻度は3日に1回程度を目安に、色落ちの具合を見ながら調整してください。また、カラーシャンプーは洗浄力がマイルドなものが多いため、整髪料をたくさんつけている日は、一度普通のシャンプーで予洗いしてから使うことをおすすめします。
ドライヤーの熱ダメージが色落ちを加速させる?温度管理の重要性


美容家電のエキスパートとして声を大にしてお伝えしたいのが、ドライヤー選びと使い方がヘアカラーの寿命を左右するということです。「ドライヤーなんて乾けば何でも同じ」と思っているなら、それは大きな間違いです。
特に青色などの寒色系カラーは熱に非常に弱く、高温の風を当て続けることで色素が変質したり、キューティクルが損傷して色が抜け出たりするリスクが高まります。
一般的な古いタイプのドライヤーや安価なモデルは、吹き出し口の温度が100℃近くになるものも少なくありません。このような高温の風を一点に集中して当てると、髪の表面温度が急上昇し、いわゆる「熱変色」や「過乾燥(オーバードライ)」を起こしてしまいます。青色が瞬時にくすんだり、色飛びしてしまったりするのはこのためです。
色持ちを重視するなら、温度自動制御機能(インテリジェント・ヒートコントロールなど)や、低温でも大風量で乾かすタイプの最新ドライヤーの使用を強く推奨します。これらの高機能機種は、髪の表面温度が60℃〜70℃を超えないように設計されており、熱によるタンパク変性と色あせを最小限に抑えてくれます。
また、ドライヤーの使い方にもコツがあります。まずは根元を中心に乾かし、毛先は余熱と弱風で乾かすのが鉄則です。毛先はダメージを受けやすく色落ちもしやすい部分なので、高温の強風を直接当て続けるのは避けてください。そして、8割程度乾いたら「冷風」に切り替えることも重要です。温風で開いたキューティクルを冷風で引き締めることで、髪にツヤを出し、内部の水分と色素を閉じ込める効果があります。最新のドライヤーには、温風と冷風を自動で交互に切り替える「温冷リズムモード」などが搭載されているものもあり、これらを活用することで、テクニックいらずでプロ級の色持ちケアが可能になります。
お風呂上がりは時間との勝負!濡れた髪を放置してはいけない理由


お風呂上がり、バスタオルを頭に巻いたままスマホを見てくつろいでいませんか?実はその時間こそが、青髪の色素がどんどん逃げ出している「魔の時間」なのです。髪の毛は濡れると、水分を含んで膨らみ、表面のキューティクルが開いた状態になります。
これは、髪内部の成分が外に漏れ出しやすい状態であることを意味します。つまり、髪が濡れている時間が長ければ長いほど、色素は隙間から流出し続けてしまうのです。
特にブリーチをした髪は、健康な髪に比べて多孔質(穴だらけのスポンジのような状態)になっているため、水分の吸収と排出が激しく行われます。濡れたまま放置することは、蛇口を開けっ放しにしているようなものです。
さらに、濡れた髪は非常に強度が低く、枕との摩擦やちょっとした引っかかりで簡単に切れたり枝毛になったりします。これを「加水分解」に近い状態と考えれば、その脆さがわかるでしょう。
ダメージが進行すれば、当然ながら色素を保持する力も弱くなり、次回のカラーの色持ちまで悪くなるという悪循環に陥ります。
ですから、お風呂から上がったら「スキンケアよりも先に髪を乾かす」くらいの意識を持つことが、美しい髪色を守るためには必要です。まずは吸水性の高いヘアドライタオルで優しく水分を拭き取り(こすらずに押さえるように)、洗い流さないトリートメント(アウトバストリートメント)をつけてコーティングします。そして、すぐにドライヤーで完全に乾かしきってください。「半乾き」もNGです。水分が残っていると、寝ている間の摩擦でキューティクルが剥がれ、翌朝には枕カバーが青くなっているという事態になりかねません。スピード乾燥は、色持ちだけでなく、頭皮の雑菌繁殖を防ぎ、ニオイや痒みを予防する観点からも非常に重要です。
アイロンやコテの使用温度は何度がベスト?熱変色を防ぐテクニック


スタイリングに欠かせないヘアアイロンやコテですが、これらも使い方を誤ると一瞬で美しい青髪を台無しにしてしまいます。ヘアカラーの色素、特にアッシュやブルー系の染料は熱に対して非常に敏感です。
180℃以上の高温プレートで髪を挟むと、その熱によって染料の分子が破壊・変色し、鮮やかだった青が一瞬で濁った色や黄色っぽい色に変わってしまうことがあります。
これを「熱変色」と呼びます。一度熱変色してしまった色は、残念ながら元には戻りません。さらに、高温による「タンパク変性(髪が硬くなる現象)」が起きると、髪の内部構造が変化し、次回のカラーが入らなくなる原因にもなります。
では、何度なら安全なのでしょうか?髪質やダメージレベルにもよりますが、色落ちを防ぐための推奨温度は「140℃〜160℃」です。180℃や200℃といった高温設定は、プロが短時間で仕上げるための温度であり、毎日のセルフスタイリングには高すぎます。「低い温度だとカールがつかない」と感じる場合は、温度を上げるのではなく、アイロンを通すスピードを少しゆっくりにする、または一度に挟む髪の量を減らすことで対応してください。低温であっても、じっくりと熱を伝えることで綺麗なカールやストレートを作ることができます。
さらに、アイロンを使用する前には必ず「ヒートプロテクト成分」が配合されたオイルやミストを使用してください。これらは髪の表面に皮膜を作り、直接的な熱の衝撃から髪を守ってくれます。また、同じ場所に何度もアイロンを通さないことも重要です。最新のヘアアイロンには、水蒸気爆発を防ぐ特殊なプレート(テフロン系やシルクプレートなど)や、温度を精密にコントロールするセンサーを搭載したモデルも登場しています。頻繁にスタイリングをする方こそ、髪への負担が少ない高品質なアイロンを選ぶことが、長期的な色持ち戦略として有効です。
次のカラーに影響させないために!残留色素との上手な付き合い方


青髪を楽しんだ後、次にどんな色にするかを考えるのもヘアカラーの醍醐味です。しかし、ここで問題になるのが「残留色素」です。青色の色素、あるいは色落ち対策で使いすぎたカラーシャンプーの色素が髪の内部に強く残っていると、次のカラーの発色を邪魔してしまうことがあります。
例えば、青い色素が残っている状態で「ピンク」や「赤」系のカラーを入れようとするとどうなるでしょうか。色彩学的に青と赤は反対側に位置するため、混ざると濁った紫になってしまったり、くすんだグレーになってしまったりして、鮮やかな暖色系にはなりません。
特に注意が必要なのが、濃いブルーブラックや、マニキュア(酸性カラー)、カラーバターなどでしっかりと染めた場合です。これらの染料は髪の表面付近に強く吸着するため、通常のカラー剤ではなかなか抜けません。
もし次のカラーで淡いパステルカラーや暖色系、ベージュ系を希望しているなら、計画的に色素を抜いていく必要があります。美容室に行く直前まで、濃いブルーシャンプーや紫シャンプーを使い続けていると、その色素が邪魔をしてリタッチやカラーチェンジが難しくなることもあります。
カラーチェンジを予定している日の1週間〜10日前くらいからは、カラーシャンプーの使用を控え、通常のシャンプーに戻して自然に色を落としていくのが賢明です。また、「残留色素を無理やりブリーチで剥がす」という行為は髪への負担が大きすぎるため、おすすめできません。優秀な美容師であれば、残留している青みを計算に入れた上で、それを打ち消す補色を使ったり、残留色素を活かしたカラー(グレージュやラベンダーなど)を提案してくれたりします。セルフカラーで黒染めや濃い青を入れてしまった場合は、正直にその履歴を美容師に伝えることが失敗を防ぐ唯一の方法です。
カラーチェンジの豆知識
青髪からスムーズに移行しやすい色は、同系色である「ラベンダー」「シルバー」「グレージュ」です。逆に「ピンク」「オレンジ」への変更は難易度が高いため、一度ブリーチで剥がす必要がある場合が多いです。
総括:青髪の美しい色落ちはベース作りと低温ケアの徹底が鍵
この記事のまとめです。
- 青髪が色落ちして緑になる主な原因はベースの髪の黄色味である
- 綺麗なシルバーにするにはブリーチで18レベル以上に明るくする必要がある
- 染めたてから1週間が最も綺麗な青みを楽しめる期間である
- 黄ばみを防ぐには紫シャンプー(ムラシャン)の使用が不可欠である
- 濃い青を維持したい場合はブルーシャンプーやアッシュシャンプーを選ぶ
- シャンプーのお湯は38℃前後のぬるま湯設定が色持ちに最適である
- 洗浄力の強い市販シャンプーは避けアミノ酸系などを使用する
- タオルドライでの摩擦はキューティクルを傷め色素流出の原因となる
- ドライヤーは熱変色を防ぐため60〜70℃程度の低温または自動温調機能付きを使う
- 濡れた髪の放置は色素流出の最大要因となるため入浴後は即乾燥させる
- ヘアアイロンの使用温度は140〜160℃を目安に設定する
- アイロン前には必ずヒートプロテクト効果のあるオイル等を使用する
- カラーチェンジの1週間前からはカラーシャンプーの使用を控える
- 次のカラーを綺麗に入れるには残留色素の管理が重要である
- 日々の丁寧な低温ケアが青髪の寿命を決定的に延ばす











