「髪に良いと聞いて椿油を使ってみたけれど、ベタついて逆に扱いづらくなった」「時間が経つと油臭い気がする」といった経験はありませんか。古くから日本女性の黒髪を守ってきた椿油ですが、インターネット上で「椿油 髪 良くない」と検索されることが多いのも事実です。
しかし、これは椿油そのものが悪者なのではなく、現代のヘアスタイルや髪質に合わない使い方をしているケースがほとんどです。この記事では、美容家電と毛髪科学の専門家として、なぜ椿油が良くないと言われるのかその科学的根拠を解明し、デメリットを回避しながらツヤ髪を手に入れるための正しい活用法を徹底解説します。
この記事のポイント
- 椿油が髪に良くないと言われる主な原因は酸化とつけすぎにある
- オレイン酸の含有量が高いため脂性肌や頭皮トラブルがある人は注意が必要
- 精製度合いによって仕上がりや酸化への耐性が大きく異なる
- ドライヤー前の適切な使用量とタイミングを守れば強力な味方になる
なぜ「椿油は髪に良くない」という口コミや誤解が生まれるのか
- 髪質に対して油分が重すぎてベタつきやボリュームダウンを招く
- 保管状態や時間の経過による酸化で不快なニオイが発生する
- 頭皮の常在菌バランスを崩して痒みや炎症を引き起こすリスク
- ドライヤーの熱と油分の関係による「オイル焼け」の誤解
- シリコン配合のトリートメントとの併用によるビルドアップ現象
髪質に対して油分が重すぎてベタつきやボリュームダウンを招く

椿油が「髪に良くない」と感じてしまう最大の要因は、そのテクスチャーの重さにあります。椿油は植物性オイルの中でも特に「オレイン酸」を85%以上含むため、非常に粘度が高く、しっとりとした重厚な仕上がりが特徴です。
これは、かつての日本髪のように髪をまとめたり、ボリュームを抑えたりする目的には非常に適していますが、現代のふんわりとしたエアリーなスタイルや、レイヤーを入れた軽やかなカットとは相性が悪い場合があります。
特に、髪が細くて柔らかい「猫っ毛」の方や、毛量が少ない方が標準的な量を使用してしまうと、髪一本一本が油分でコーティングされすぎてしまい、重力に負けてペタンとしてしまいます。
その結果、「髪を洗っていない人のような不潔な印象」に見えたり、束感が出すぎてスタイリングが決まらなかったりするという失敗が起こります。また、健康な髪は適度な水分と油分のバランスで成り立っていますが、過剰な油分は水分を弾きすぎてしまい、かえって髪内部の乾燥(インナードライ)に気づきにくくなるという側面もあります。
美容室でトリートメントをした直後のようなサラサラ感を求めている場合、椿油のリッチすぎる油分は「重たくて扱いづらい」というマイナス評価につながりやすいのです。自分の髪質が油分を吸収しやすい乾燥毛なのか、それとも油分で潰れやすい軟毛なのかを見極めることが、失敗を防ぐ第一歩となります。
保管状態や時間の経過による酸化で不快なニオイが発生する

「椿油を使うと油臭くなる」という声もよく聞かれますが、これは椿油に含まれる成分の酸化が関係しています。椿油の主成分であるオレイン酸は、本来は酸化しにくい安定した脂肪酸です。
しかし、100%純粋な椿油であっても、開封から長期間が経過していたり、直射日光が当たる場所や高温多湿な浴室に放置されていたりすると、徐々に劣化が進みます。特に、昔ながらの製法で作られた未精製の椿油には、微量の不純物が含まれていることがあり、これらが酸化の引き金となることがあります。
酸化した油は、独特の酸っぱいような、あるいは古びた油のような不快なニオイ(アルデヒド臭など)を放ちます。これを髪につけて一日過ごすと、体温で温められることによってニオイが周囲に拡散しやすくなります。
さらに厄介なのは、髪に付着した古い油が紫外線にさらされることで酸化が加速し、髪のタンパク質を変性させてダメージを与えてしまうことです。ユーザーが「椿油は臭い」と感じる場合、その多くは購入から何年も経過した古い製品を使っていたり、毎回キャップをしっかり閉めていなかったりと、管理方法に問題があるケースが散見されます。
新鮮な椿油は本来、無臭に近いか、ほのかなナッツのような香ばしさがある程度ですので、異臭を感じたら使用を直ちに中止する必要があります。
酸化チェックリスト
- 色が購入時より濃くなっている
- 酸っぱいニオイやクレヨンのようなニオイがする
- テクスチャーがドロっとしている
頭皮の常在菌バランスを崩して痒みや炎症を引き起こすリスク

「椿油で頭皮マッサージをしたら痒くなった」というトラブルも、椿油が合わないとされる大きな理由の一つです。これには毛髪科学的な根拠が存在します。私たちの頭皮には「マラセチア菌」という常在菌が存在しており、この菌は皮脂(トリグリセリド)をエサにして活動しています。
椿油の主成分であるトリグリセリドは、このマラセチア菌にとって格好のエサとなってしまうのです。菌が油を分解する過程で生成される「遊離脂肪酸」が皮膚への刺激となり、炎症を引き起こす原因となります。
健康な頭皮状態であれば、週に一度程度のケアで適切に洗い流せば問題になることは少ないですが、もともと脂漏性皮膚炎の傾向がある方や、フケ・痒みが出やすい方が使用すると、菌が異常繁殖するきっかけを作ってしまいます。特に危険なのは、頭皮に椿油を塗ったまま長時間放置したり、シャンプーで完全に洗い流せていなかったりする場合です。毛穴に残った油分と増殖した菌が刺激物質となり、頭皮のターンオーバーを乱し、赤みや湿疹、大量のフケを引き起こすことがあります。「天然成分だから肌に優しいはず」という思い込みで、たっぷりと頭皮に擦り込んでしまうのはリスクが高い行為です。
使用を控えるべき人
- 脂漏性皮膚炎と診断されたことがある
- 現在、頭皮に赤みや強い痒みがある
- オイルクレンジングで肌荒れした経験がある
ドライヤーの熱と油分の関係による「オイル焼け」の誤解

ドライヤーやヘアアイロンを使用する前に椿油をつけることは、一般的に推奨されていますが、使い方を誤ると「オイル焼け」と呼ばれる現象を引き起こし、髪に深刻なダメージを与える可能性があります。
これは、髪についた油分が熱によって高温になりすぎてしまい、髪を「揚げて」しまうような状態になることを指します。油は水よりも沸点が高く、熱伝導率も異なります。水分を含んだ髪に多量に塗布し、180度近い高温のヘアアイロンを長時間当て続けると、髪内部の水分が急激に沸騰し、水蒸気爆発のような現象が起きてキューティクルを破壊してしまいます。
また、ドライヤーの熱から守ろうとして、濡れた髪に滴るほどの椿油をつけてから乾かすのも逆効果になることがあります。油膜が厚すぎると髪内部の水分が蒸発しにくくなり、いつまでも髪が乾かない状態になります。
その結果、ドライヤーを当てる時間が不必要に長くなり、温風による熱ダメージが蓄積されてしまうのです。「髪がなかなか乾かない」「乾いた後も髪が熱を持っている」と感じる場合は、オイルの量が多すぎている証拠です。
熱伝導率の関係を理解せずに、ただ塗れば守ってくれると考えるのは危険であり、これが「椿油を使うと髪が傷む」という誤解を生む原因となっています。適切な量を守り、熱源との距離を保つ技術が必要です。
シリコン配合のトリートメントとの併用によるビルドアップ現象

近年増えているのが、市販のシリコン入りシャンプーやトリートメントと椿油を併用することによる弊害です。これを専門用語で「ビルドアップ(蓄積)」と呼びます。シリコンは髪の表面をコーティングして手触りを良くする優れた成分ですが、その上からさらに吸着力の高い椿油を重ねてしまうと、コーティングが何層にも重なった強固な皮膜が形成されてしまいます。この複合的な皮膜は通常のシャンプーでは非常に落ちにくく、日々の洗浄で落としきれない汚れや油分が髪に蓄積され続けていきます。
ビルドアップが起きると、髪がゴワゴワと硬くなったり、トリートメントの栄養分が内部に浸透しなくなったり、カラーリングの色が入らなくなったりといった不具合が生じます。
特に、しっとりタイプのシャンプーを使っている上に、仕上げに椿油を使っている人は要注意です。髪が重たく感じる、洗ってもベタつきが取れないと感じる場合、それは髪質が悪化したのではなく、シリコンと椿油が混ざり合って固着している可能性があります。
この状態になると、一度リセットするために洗浄力の強いクレンジングシャンプーが必要になるなど、ケアの手間が増えてしまいます。異なる性質のコーティング剤を無自覚に重ね塗りすることが、結果として髪のコンディションを低下させているのです。
椿油のデメリットを解消し美髪へ導く正しいプロの使い方
- 0.5滴単位で調整する「極少量」の塗布テクニック
- 週に一度のディープクレンジングとしての頭皮ケア手順
- 目的と髪質に合わせて「精製」と「未精製」を使い分ける
- ドライヤー前のタオルドライと塗布位置の黄金ルール
- 品質を維持して酸化を防ぐための最適な保管場所と期間
0.5滴単位で調整する「極少量」の塗布テクニック

椿油で失敗しないための最大の鉄則は、使用量を「一滴」ではなく「半滴」単位でコントロールすることです。多くの人がパッケージに書かれている「適量」を手のひら全体に広げてしまいがちですが、現代の精度の高い椿油にとって、ショートやボブであれば一滴でも多すぎる場合があります。
まずはボトルから一滴だけ手のひらに出し、それを両手でしっかりと擦り合わせて、指の間まで薄く均一に広げてください。この「手のひらで温めて薄く伸ばす」という工程が非常に重要で、これによりムラづきを防ぐことができます。
塗布する際は、いきなり頭頂部や前髪などの目立つ部分に触れてはいけません。最もダメージを受けやすく乾燥している「毛先の内側」から手櫛を通すように馴染ませていきます。そこから徐々に中間部分へと手を動かし、最後に手に残ったわずかな余分な油分で表面を軽く撫でる程度で十分です。特に前髪や根元付近には、意図的につけないようにするくらいの意識が必要です。「足りないかな?」と感じるくらいが適量であり、もし乾燥が気になる場合は、翌日以降に本当にごくわずかな量を足すようにしましょう。この0.5滴単位の微調整ができるようになれば、椿油特有のベタつきを回避し、内側から輝くようなツヤだけを手に入れることが可能になります。

週に一度のディープクレンジングとしての頭皮ケア手順


日常のスタイリング剤としてではなく、シャンプー前のスペシャルケアとして椿油を使用する方法は、デメリットを最小限に抑えつつメリットを最大化できる賢い使い方です。乾いた状態の頭皮に椿油をたっぷりと(500円玉程度)塗布し、指の腹を使って優しくマッサージすることで、毛穴に詰まった酸化皮脂やスタイリング剤の残りを浮き上がらせるクレンジング効果が期待できます。
椿油のオレイン酸は皮脂と馴染みが良いため、頑固な角栓を無理なく溶かし出すのに適しています。
重要なのは、その後の「乳化」と「洗浄」のプロセスです。マッサージが終わったら、いきなりシャワーで流すのではなく、少量のぬるま湯を頭皮にかけ、油分と水分を馴染ませて白っぽくなるまで乳化させます。この工程を経ることで、油汚れがスムーズに流れ落ちやすくなります。その後、お湯で十分に予洗いをしてから、シャンプーを通常通り、あるいは必要であれば二度行います。この方法であれば、頭皮に油分を残してマラセチア菌のエサにすることなく、頭皮の乾燥を防ぎながら清潔な環境を整えることができます。週に一度、週末のバスタイムなどに行うことで、頭皮環境のリセットとリラックス効果を同時に得られるでしょう。
目的と髪質に合わせて「精製」と「未精製」を使い分ける


椿油には大きく分けて、黄金色をした「未精製(または圧搾)」タイプと、透明でサラサラした「精製」タイプの二種類が存在します。これらを髪質や用途に合わせて賢く使い分けることが、成功への鍵となります。
| 特徴 | 未精製(黄金色) | 精製(透明) |
|---|---|---|
| 香り | 特有のナッツのような香り | ほぼ無臭 |
| 質感 | 重め・しっとり | 軽め・サラサラ |
| 栄養価 | 豊富(微量成分含む) | 低い(純粋な油分) |
| 酸化 | 比較的しやすい | しにくい |
| おすすめ | 剛毛・ダメージヘア・頭皮ケア | 猫っ毛・スタイリング・初心者 |
ドラッグストアなどでよく見かける黄色いパッケージの伝統的な椿油は、多くが未精製または軽度の精製であり、椿本来の栄養分が豊富に残っている反面、特有の香りがあり、テクスチャーも重めです。
これは剛毛の方、くせ毛でボリュームを抑えたい方、極度のダメージヘアの方に向いていますが、細い髪の方が使うとペタンとなりやすい傾向があります。
一方、透明な精製椿油は、ろ過を繰り返して不純物や香りを取り除いているため、酸化しにくく、テクスチャーも比較的軽やかです。ニオイに敏感な方、猫っ毛の方、初めてオイルケアに挑戦する方には、この精製タイプが圧倒的に扱いやすくおすすめです。
また、朝のスタイリングに使いたい場合はサラッとした精製タイプ、夜の集中パックとして使いたい場合は栄養豊富な未精製タイプといったように、シーンによって使い分けるのもプロのテクニックです。
ドライヤー前のタオルドライと塗布位置の黄金ルール


ドライヤーの熱から髪を守るヒートプロテクトとして椿油を使う場合、最も重要なのは「髪の水分量」です。びしょ濡れの髪にオイルをつけても、水分と油分が反発してしまい、髪の表面に油が浮くだけで内部まで浸透しません。
必ずタオルドライをしっかりと行い、水滴が落ちない程度まで水分を取ってから塗布してください。水分が適度に残っている状態であれば、オイルが水分と一緒に髪の内部へ浸透しやすくなり、乾燥を防ぐ効果が高まります。
塗布する位置は、ダメージが集中している「耳から下」の毛先に限定するのが黄金ルールです。健康な根元付近には本来、自身の皮脂が行き渡っているため、あえて油分を補う必要はありません。毛先を中心に揉み込むように馴染ませたら、目の粗いコームで優しくとかし、油分を均一に行き渡らせます。その後、ドライヤーの温風を根元から毛先に向かって当てることで、キューティクルが整い、ツヤのある仕上がりになります。この時、ドライヤーを髪に近づけすぎないように注意し、仕上げに冷風を当てることで、オイルのコーティングを定着させ、ツヤを固定させることができます。この手順を守れば、オイル焼けの心配もなく、しっとりとまとまる美髪を実現できます。
品質を維持して酸化を防ぐための最適な保管場所と期間


椿油の効果を最大限に引き出し、肌トラブルやニオイの原因となる酸化を防ぐためには、保管方法の徹底が欠かせません。多くの人が利便性を優先して、温度変化が激しく湿気の多い浴室や、直射日光の当たる洗面台の窓際に置きっぱなしにしていますが、これは油の劣化を早める最悪の環境です。
椿油の理想的な保管場所は、直射日光が当たらない、涼しくて暗い場所(冷暗所)です。洗面台の下の収納棚や、引き出しの中などが適しています。もし長期間使わない場合は、冷蔵庫の野菜室などで保管するのも一つの手ですが、出し入れによる温度変化で結露が生じないよう注意が必要です。
また、使用期限についても意識を向ける必要があります。未開封であれば製造から1〜2年は持ちますが、一度開封して空気に触れると酸化のカウントダウンが始まります。一般的には、開封後は半年から一年以内を目安に使い切るのが理想的です。特に精製度の低いものは酸化が早いため、6ヶ月以内を目処にすると良いでしょう。大容量のお得なボトルを買っても、使い切るのに数年かかってしまっては、最後の方は劣化した油を髪に塗っていることになりかねません。自分の使用頻度に合わせて、できるだけ新鮮なうちに使い切れる小さめのサイズを選ぶことが、結果として髪にとって最も良い選択となります。
もし酸化してしまったら?
髪や肌への使用は避け、革製品のメンテナンスや、刃物のサビ防止用として再利用するのがおすすめです。
総括:酸化と使用量を見直せば椿油は最強の美髪パートナーになる
この記事のまとめです。
- 椿油が髪に良くないと言われる主な原因は酸化した油の使用と過剰な塗布量にある
- 日本人の髪質に対して椿油は重すぎる場合がありボリュームダウンの原因になる
- オレイン酸はマラセチア菌のエサになるため脂漏性皮膚炎のリスクがある人は頭皮への使用を避ける
- 古い椿油や保管状態が悪いものは酸化臭を発生させ髪に不快なニオイを移す
- 濡れた髪への多量塗布と高温ドライヤーの組み合わせはオイル焼けを引き起こす可能性がある
- 髪が細い人や軟毛の人は精製された軽いテクスチャーの椿油を選ぶべきである
- スタイリング時は一滴ではなく半滴単位で手のひらに伸ばしてから使用する
- 塗布する際はダメージのある毛先を中心に行い根元や頭皮にはつけない
- 週に一度の頭皮クレンジングとして使う場合は必ずシャンプーで乳化して洗い流す
- シリコン入りトリートメントとの併用はビルドアップの原因になるため注意が必要
- ドライヤー前の使用はタオルドライをしっかり行った後に行うのが鉄則である
- 開封後は直射日光を避けた冷暗所で保管し半年から一年以内に使い切る
- 自分の髪質に合わないと感じたら無理に使用を続けず使用を中止する勇気も必要
- 正しい知識と使い方を守れば椿油は保湿力とツヤ出しにおいて非常に優れた効果を発揮する
- 椿油の特性を理解し現代のヘアケア習慣に上手く取り入れることが美髪への近道である











